低用量ピルの避妊効果は何%?確実に避妊したい方が知っておくべき低用量ピルの種類と効果
予期せぬ妊娠を防ぐために低用量ピルを服用している人は多いですが、「ピルを飲んでいれば絶対に妊娠しないの?」と疑問に感じる方も少なくありません。
低用量ピルは正しく服用すれば高確率で避妊効果が期待できますが、飲み忘れや薬の併用によって効果が下がるケースもあります。
この記事では、避妊を確実にしたい人が知っておきたいピルの種類や効果、特徴について詳しく紹介します。
避妊の効果を最大限に高めるポイントや失敗例などもわかりやすく解説しますので、ピル選びや服用時の注意点として役立ててください。
低用量ピルは避妊効果がどれくらいあるの?
低用量ピルの避妊成功率は92%といわれています。これは多少の飲み忘れを反映している数字です。
毎日決まった時間に飲み忘れることなく服用した場合は、避妊成功率が99.7%にもなります。
コンドームの一般的な使用による避妊成功率が約85%である点をみても、低用量ピルの服用により100%近い確率で避妊できるのは、多くの人にとって大きなメリットです。
低用量ピルが避妊効果をもつ理由
低用量ピルが高い避妊効果をもつ理由は、主に以下の3つの作用によるものです。
- 排卵を抑制する低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが含まれています。これらが脳に働きかけ排卵を抑えることで、受精の可能性を低下させます。
- 子宮内膜を薄くする子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にするため、万が一精子と卵子が出会ったとしても妊娠しにくくなります。
- 子宮頸管の粘液を変化させるピルを服用すると子宮頸管の粘液が変化し、精子が子宮内に入りにくくなります。これにより、精子が卵子にたどり着くのを防ぎます。
これらの作用が組み合わさることで、低用量ピルは99.7%という高い避妊効果を発揮するのです。飲み忘れがあると効果が低下するため、決められた方法や時間で服用することが重要です。
低用量ピルを使用するメリット
低用量ピルには、避妊効果だけでなく生理のコントロール、健康維持、肌の改善といった生活全般にわたる多くのメリットがあります。
生理に関するメリット | ・生理周期の安定化 ・生理痛の軽減 ・月経量の減少 ・PMSの症状緩和 ・月経のコントロール |
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健康面でのメリット | ・卵巣がんや子宮体がんのリスク低減 ・子宮内膜症や子宮筋腫の予防 ・症状緩和 |
肌に関するメリット | ・ニキビや肌荒れの改善 |
毎月ごとに生理の痛みや不調に振り回され「また生理がくるのか…」と気が重くなり、予定があるのに突然の体調不良で思うように過ごせないこともあるでしょう。
生理前にはイライラや気分の落ち込みが続いて、些細なことで涙が出てしまう。当日はお腹や腰が重だるく、薬を飲んでもなかなか効かずしんどい思いをする方も多いのではないでしょうか。
生理周期が不安定だったり、経血量が多かったりすると外出時にも不安がつきまといますよね。
このような生理のあれこれでつらい思いをしている方にとっても、ピルは助けとなる存在なのです。
低用量ピルの生理に関するメリットとは
低用量ピルは生理周期を安定させ、予定を立てやすくするメリットがあります。生理痛の軽減や月経量の減少、PMSの症状緩和にも役立ち、日常生活をより快適に保つ助けとなります。
生理周期の安定化 | ・低用量ピルには排卵を抑制する作用があるため、生理周期が安定します。 ・ピルを服用すると28日周期で出血がくるように調整されるため、生理のタイミングが予測しやすくなります。 |
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生理痛の軽減 | ・出血量が減ることで子宮の収縮が弱まり、生理痛が軽くなることがあります。 ・前もってホルモンの変動を抑えることで、生理中の腹痛や腰痛が軽減される場合があります。 |
月経量の減少 | ・ピルの服用で子宮内膜が厚くなりにくくなるため、生理のときに剥がれ落ちる内膜が少なくなり、出血量が減ります。 ・月経過多(経血量が多い状態)の人にとっては、貧血予防にもつながるメリットがあります。 ・経血量が少なくなることでナプキンやタンポンの交換頻度が減り、生活が快適になるケースもあります。 |
PMSの症状緩和 | ・ピルによってホルモンの変動が抑えられるため、以下のPMS症状が和らぐ可能性があります。 ・イライラや情緒不安定 ・頭痛や腰痛 ・むくみや乳房の張り ・倦怠感や集中力の低下 ・気分の落ち込みや不安感が軽減されるケースもあります。 |
月経のコントロール | ・ピルを服用すると生理日を意図的に調整できるため、旅行や大切な予定と重ならないようにコントロールできます。 ・月経困難症の治療目的でピルを使う場合は、生理を年に数回に抑える治療法もあります。 |
ピルによって生理に関する悩みが軽減されると、心身ともにラクになり日常生活の質が向上します。
「生理はつらくて当たり前」という認識から解放され気持ちが前向きになり、アクティブに過ごせる自信も生まれるでしょう。
低用量ピルの健康面でのメリットとは
低用量ピルは、女性器にかかわる疾患の予防や症状を軽減するのにも役立ちます。
- 1. 卵巣がんや子宮体がんのリスク低減
低用量ピルの使用で卵巣がんのリスクは約50%、子宮体がんは約30%減少するといわれています。低用量ピルに含まれるホルモン(エストロゲンとプロゲスチン)は卵巣や子宮内膜に働きかけます。
これにより卵巣の排卵を抑えられ排卵がない状態が続くため、卵巣がんのリスクが減少するのです。またピルが子宮内膜の増殖を抑制するため、子宮体がんのリスクも低下します。
- 2.子宮内膜症や子宮筋腫の予防・症状緩和
低用量ピルは子宮内膜の増殖を抑制し、子宮内膜症のリスクを約50~80%減少させるといわれています。子宮内膜症は子宮内膜が子宮以外の場所に発生する疾患で、激しい生理痛や不妊症の一因です。
子宮筋腫も、低用量ピルの服用により症状の軽減や筋腫の成長を抑えられる可能性があります。とくに筋腫の症状である過多月経や生理痛が緩和される場合があります。
婦人科系疾患は症状が出にくく進行しやすいものが多いため「ピルを服用することでリスクが低減できる」と知れば、安心できますよね。
家族に婦人科系がんの既往歴がある人や、将来的な妊娠を考えている人にとっては「予防できる選択肢がある」という心の支えになるはずです。
子宮内膜症や子宮筋腫による月経痛や過多月経が緩和されれば「仕事や学校を休まなくて済む」「体調不良で予定をキャンセルしなくて済む」といったように日常生活での負担も減るでしょう。
低用量ピルの肌に関するメリットとは
低用量ピルはホルモンバランスを整える作用があるため、ニキビや肌荒れの改善が期待できます。皮脂分泌を抑える効果もあり、肌の健康を保ちやすくなります。
ニキビや肌荒れを改善する主な要因は、ホルモンバランスの働きです。とくに男性ホルモン(アンドロゲン)の抑制が関係しています。
- 男性ホルモン(アンドロゲン)の抑制
- アンドロゲンは、皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を促進します。皮脂の過剰な分泌は、毛穴を詰まりやすくするためニキビや肌荒れの原因です。
- 低用量ピルは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲスチン)を補充することで、男性ホルモンの働きを抑え、皮脂の分泌を抑制します。この作用により、ニキビや吹き出物ができにくくなります。
- ホルモンバランスの安定化
- 生理周期のホルモン変動によって肌の調子が悪くなることがあります。たとえば、生理前にエストロゲンが減少し男性ホルモンが優位になり、ニキビができやすくなります。
- ホルモンバランスが安定し、皮脂分泌の乱れを防ぎます。これにより生理前後の肌荒れを予防できます。
- 炎症の軽減
- ニキビは炎症性の疾患です。低用量ピルはホルモンの影響を調整するため、炎症の原因となる物質の生成を抑制し、肌の炎症を軽減します。
- 肌の質の改善
- 低用量ピルによってホルモンバランスが整い、肌のターンオーバー(新陳代謝)が正常に保たれます。古い角質が溜まらず毛穴の詰まりを防ぐためで肌の質が向上し、滑らかで健康的な肌を保ちやすくなるのです。
- ニキビの予防
- 低用量ピルはニキビの原因となるホルモンの急激な変動を抑えるため、予防的な効果も期待できます。とくにホルモンバランスの乱れによって生じるニキビに対して効果的です。
低用量ピルはホルモンの影響による肌トラブルで悩んでいる人にも向いています。たとえば思春期や生理周期、妊娠後などで肌が荒れた経験のある場合は効果が期待でき、大人ニキビに悩む女性にもおすすめです。
低用量ピルのなかでも、肌荒れ改善に向いているピルとそうでないピルがあるため、使用前に医師との相談をおすすめします。
低用量ピルとその他の避妊法の違い
避妊方法にはさまざまな種類がありますが、それぞれ効果の高さ・手軽さ・副作用・費用などの違いがあります。
以下の比較表では、代表的な避妊方法と低用量ピルの違いをわかりやすく整理しました。
低用量ピルと他の避妊方法を比較しながら、違いを詳しくみていきましょう。
避妊方法 | 避妊効果 | メリット | デメリット | 継続コストの目安 |
---|---|---|---|---|
低用量ピル | 約92% (完璧に使用すれば99%以上) | ・高い避妊効果・生理周期の安定、月経痛の軽減、肌荒れの改善、PMSの緩和などの効果あり ・女性が主体的に避妊できる | ・毎日決まった時間に服用が必要・副作用の可能性(吐き気・頭痛など) ・医師の処方が必要 ・血栓リスクがあるため、喫煙者や40歳以上は要注意 | 自由診療なので医療機関により異なる約2,500〜5,500円/月 |
コンドーム | 約85% | ・すぐに使用できる ・性感染症(STI)予防効果あり ・低用量ピルと併用するとより確実 | ・装着ミスや破損のリスクあり。避妊成功率は使用状況に左右される ・男性側の協力が必要 | 約100〜500円/回 |
IUS(ミレーナ) | 約99% | ・5年間避妊効果が持続 ・生理痛軽減や経血量の減少効果あり ・子宮内に装着するため、長期的な避妊向け | ・挿入時の痛み、出血のリスク ・医師による処置が必要 | 約50,000円/5年 |
IUD(銅付加子宮内避妊具) | 約99% | ・ホルモンを使わず避妊可能 ・最長10年使用可能 | ・挿入時の痛みや出血リスクあり | 約40,000円/10年 |
緊急避妊薬(アフターピル) | 約75〜85% | ・避妊失敗時に使用可能 | ・既定の時間内に服用が必要 ・副作用(吐き気・不正出血)あり ・通常の避妊法の代わりにはならない | 約7,000〜15,000円/回 |
基礎体温法(自然避妊法) | 約76% | ・副作用なし ・自己管理のみで実施可能 ・妊活にも活用できる | ・排卵日の特定が難しい ・ストレスや体調で変動する ・確実な避妊には不向き | 0円 |
外出し(膣外射精) | 約78% | ・特別な道具が不要 | ・避妊失敗率が高い ・精液が少量でも膣内に入る可能性あり ・避妊効果は不確実。低用量ピルやコンドームと併用が望ましい | 0円 |
不妊手術(卵管結紮・精管切除) | ほぼ100% | ・半永久的な避妊効果 ・ホルモンに影響なし ・確実な避妊が必要な場合に適する | ・外科手術が必要 ・将来の妊娠希望が困難になる | 約100,000〜300,000円 |
※かかる費用は医療機関や使用する方の状態などにより異なります。
コンドームは性感染症予防のメリットがあり価格も安いですが、正しく使用できるかは使用者によって大きく異なります。
IUDやミレーナは長期間の避妊が可能ですが、初期にかかる費用が大きくなります。
低用量ピルは、女性が主体的に選択し実行できる避妊方法であり、避妊を男性に任せる必要がありません。避妊効果の高さやそのほかのメリット・価格・使いやすさなどのバランスが良いという特徴もあります。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
避妊効果が日本で証明されていない低用量ピルもあるので注意
日本で用いられている低用量ピルである、ルナベル配合錠LDやフリウェル配合錠LD(ルナベル配合錠LDのジェネリック薬)は「避妊目的で使用しないこと」と添付文書に明記されています。そのため避妊目的での処方はできません。
ルナベル配合錠LDやフリウェル配合錠LDは、避妊効果を確認する試験が行われておらず「避妊薬」として承認されていないためです。そのため「避妊効果がある」と明言できないのです。
ただし、アメリカではルナベル配合錠LDと同じ成分の薬剤が避妊薬として承認されており、今も多くの方に使用されています。
それでも日本ではルナベル配合錠LDやフリウェル配合錠LDの「避妊効果を保証できない」ため、使用したい場合は自己で判断せず医師に相談しましょう。
超低用量ピルは避妊効果がある?
ヤーズ・ヤーズフレックス・ルナベルULDといった超低用量ピルも排卵抑制効果があるため一定の避妊効果も期待できます。ただし、避妊目的で処方されるものではありません。
確実に避妊したい場合は、避妊目的で承認された低用量ピルを選ぶか、他の避妊法を併用するのが推奨されます。まずは医師に相談してみましょう。
避妊目的で使える低用量ピルの種類や値段は?
低用量ピルや超低用量ピルには「相性(そうせい)」という分類があります。低用量ピルや超低用量ピルは、それぞれホルモンの配合バランスや服用の仕方が異なります。
ピル1シート(28日分)あたりのホルモン配合量によって「一相性」「二相性」「三相性」に分かれているのです。
ここでは、使用されるケースが多い「一相性」と「三相性」のピルについて解説します。
ピルの種類 | 特徴 | 主な製品名 |
---|---|---|
一相性ピル | 1シート(21日分)全ての錠剤に同じホルモン量が含まれる | ・マーベロン ・ファボワール |
三相性ピル | 3つの異なるホルモン量の錠剤が1シートに含まれている | ・トリキュラー ・ラベルフィーユ |
- 一相性ピル
1シート内のホルモン量が一定のため体への負担が少なく、飲み忘れた際のリスクが比較的低いのが特徴です。1シート内の全ての薬が同じ内容なので、初めてピルを使用する方にも向いています。
- 三相性ピル
ホルモンバランスの変動が自然に近いため不正出血が起こりにくい特徴があります。薬に含まれるホルモンが段階的に異なるため、飲み忘れや飲む順番を間違えないように注意が必要です。
低用量ピルは、月経困難症や子宮内膜症、月経前症候群(PMS)の治療目的として処方される場合は保険適用となりますが、避妊目的の場合は保険適用外であり自由診療となります。
自由診療の場合、価格は処方される医療機関によって異なります。
ピルの種類 | 1シートの価格※ |
---|---|
マーベロン | 2,500〜4,000円 |
ファボワール (マーベロンのジェネリック薬) | 2,500〜3,500円 |
トリキュラー | 2,000〜4,000円 |
ラベルフィーユ (トリキュラーのジェネリック薬) | 2,500〜3,500円 |
※価格は目安です。各医療機関にお問い合わせください。
ピル自体の価格のほかに、診察料や諸経費などを含めると初回は5,000円前後かかることもあります。
避妊目的でピルを選ぶ際は、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。
- 継続しやすい価格か
- 副作用が少ないか(自分の体質に合うか)
- ライフスタイルに合った服用方法か(一相性or三相性)
低用量ピルを選ぶ際は、医師と相談しながら自分に合ったものを選ぶことが重要です。価格だけでなく、体への影響や飲みやすさも考慮して選びましょう。
低用量ピルは飲み始めて何日目から避妊効果があるの?
低用量ピルは飲み始めて8日目から避妊効果があらわれるといわれています。
そのため開始後7日間はピル以外の避妊法の実施が必要です。確実に避妊したい場合は1シートの実薬分である21日間はコンドームを併用しましょう。
低用量ピルは他の避妊法と比べると高い避妊効果がありますが、100%ではありません。服用を忘れたり、飲み方が不適切だったりした場合は避妊に失敗する可能性があります。
とくに排卵前の数日間は妊娠しやすいため、コンドームなど他の避妊法と併用するのが安心です。
低用量ピルには性感染症(STI)の予防効果はないため、性感染症を防ぐためにもコンドームと併用することが推奨されます。
避妊効果が期待できないケース
低用量ピルは正しく服用すれば高い避妊効果がありますが、飲み忘れや相互作用がある薬の併用などによって効果が低下する場合があります。
- 飲み忘れた場合
1日飲み忘れの場合、気づいた時点で直ちに服用し、次の分も通常どおり服用すれば基本的には避妊効果を維持することが可能です。
2日以上飲み忘れた場合、避妊効果は大きく低下します。飲み忘れに気づいた時点で直近1回分を服用し、その日の分は通常どおり飲むことが推奨されます。ピルを再開して7日間はコンドームを併用しましょう。
飲み忘れたタイミングや日数によってリスクは異なりますが、1日でも飲み忘れると排卵が抑えきれずに妊娠する可能性が高まります。確実に避妊したい方は次の生理が来るまでコンドームを併用しましょう。 - 下痢・嘔吐した場合
ピル服用後2時間以内に嘔吐や重度の下痢があると、薬の吸収が不十分になる可能性があります。すぐにもう1錠追加で服用するか、医師に相談するのが安心です。 - 特定の薬と併用した場合
抗生物質の一部や抗てんかん薬、セントジョーンズワート(ハーブの一種)などは、ピルの効果を弱めることがあります。これらの薬を服用する際は医師に必ず報告し、どのように避妊を行っていくか相談しましょう。 - 不規則な服用
毎日同じ時間に服用することが大切です。飲む時間がバラバラになるとホルモン濃度が安定せず、避妊効果が低下する可能性があります。
低用量ピルの避妊効果をしっかり得るためには、正しい服用方法を守ることが重要です。飲み忘れや体調不良時の対応も知っておくことで、より確実に避妊できるでしょう。
避妊効果を最大限に高めるポイント
低用量ピルの避妊効果を確実に得るためには、正しい服用方法を守ることが最も重要です。以下のポイントを意識することで、効果を最大限に引き出せます。
- 毎日同じ時間に服用
- 飲み忘れを防ぐ工夫
- 相互作用のある薬に注意
- 嘔吐・下痢時の対応
- 毎日同じ時間に服用
低用量ピルは、ホルモンの血中濃度を一定に保つことで効果を発揮します。毎日決まった時間に飲むことでホルモンの変動を抑え、避妊効果が安定します。
ピルの服用を習慣化するために、アラームを設定する、歯磨き後に飲む習慣をつけるなど、自分なりのルールを決めると忘れにくくなるでしょう。 - 飲み忘れを防ぐ工夫
飲み忘れは避妊効果を低下させる大きな原因の一つです。ある調査によれば、休薬期間後の週にピルを飲み忘れていたことが最も多いとされています。
以下の方法で飲み忘れを防ぎましょう。- スマホでアラームやリマインドを設定する
- 毎日決まったタイミング(朝食後・就寝前など)で飲む習慣をつける
- ピルケースを持ち歩き、外出先でも飲めるようにする
- 旅行や時差のある地域に行く場合は、事前に服用スケジュールを調整する
- 相互作用のある薬に注意
一部の薬はピルの効果を低下させる可能性があります。とくに注意が必要な薬には、以下のようなものがあります。
薬の種類 | 影響 |
---|---|
抗生物質(リファンピシンなど) | ピルの代謝を促進し、効果を弱める |
抗てんかん薬 | ホルモンの分解を早め、避妊効果を低下させる |
セントジョーンズワート(ハーブ) | ピルの成分の分解を促進し、効果を弱める |
これらの薬を服用する際は必ず医師に相談し、追加の避妊対策(コンドームの併用など)を検討しましょう。
- 嘔吐・下痢時の対応
ピルを服用した後、2時間以内に嘔吐した場合は、薬が十分に吸収されない可能性があります。この場合は、すぐにもう1錠を追加で服用しましょう。
重度の下痢が続く場合も吸収が妨げられることがあるため、7日間はコンドームを併用するなどの避妊対策をとることが推奨されます。
低用量ピルの避妊効果を最大限に高めるためには、毎日の正しい服用と飲み忘れや体調不良時の適切な対応が欠かせません。Fこれらのポイントを意識し、確実に避妊できるようにしましょう。
ピル服用中に妊娠した例は?
低用量ピルは正しく服用すれば99%以上の高い避妊効果がありますが、それでも妊娠する可能性はゼロではありません。
実際にピルを服用中に妊娠したケースは、服用ミスや体調の影響、薬の相互作用など、いくつかの原因が考えられます。
原因 | 実際のケース | 避妊できなかった理由 |
---|---|---|
ピルの飲み忘れ | 長期旅行の前日に性行為を行った。旅行にピルを持参し忘れ、3日間服用できなかった。帰宅後にピルを再開したが、のちに妊娠が発覚。 | 3日間飲み忘れると、排卵を抑える効果が大きく失われてしまう。追加避妊なしで性交すると妊娠の確率が高まる。精子は体内で最長5日間生存可能なため、飲み忘れ前に性行為をしていた場合でも妊娠の可能性がある。 |
ミニピルを服用中だが、忙しさから服用時間が日によってバラバラになり、数時間のズレが頻繁に発生。その後、妊娠が判明。 | プロゲスチン単独のピル(ミニピル)は3時間以上のズレでも避妊効果が低下する可能性がある。 | |
薬の相互作用による影響 | 低用量ピルを服用中に、風邪を引いて抗生物質を服用。その後避妊をせずに性交し、妊娠が発覚。 | 一部の薬は、ピルのホルモン分解を促進し、避妊効果を低下させる可能性がある。(例)抗生物質、抗てんかん薬、セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)など |
持病のため抗てんかん薬を飲んでいたが、ピルとの相互作用を知らず、ピル以外の避妊は行っていなかった。のちに妊娠が判明した。 | ||
嘔吐 ・下痢による吸収不良 | ピルを服用した30分後に嘔吐したが、そのまま次の服用時間まで飲み直しはしなかった。同様のケースが何回かあったものの、ピル以外の避妊をせず性交した。のちに妊娠が発覚。 | ピルは服用後2時間以内に嘔吐すると体内に十分に吸収されないため、避妊効果が低下する可能性がある。 |
食あたりによる下痢が1週間続いていたが、ピルは毎日服用していた。体調が落ち着き始めたころから性交したが、ピル以外の避妊はしていなかった。のちに妊娠が判明。 | 下痢をしていると、腸から体内に吸収される薬剤の量が不十分になることがある。 |
ピル服用中の妊娠を防ぐためには、正しく服用することが最も重要です。
ピルを正しく服用しても、100%避妊できるわけではありません。コンドームの併用など他の避妊方法と組み合わせることで、より確実な避妊が可能になります。
低用量ピルで勘違いしやすい質問
低用量ピルは正しく服用すれば高い避妊効果が得られる薬ですが、その仕組みや注意点について誤解されていることも少なくありません。
- 低用量ピル服用中はコンドームなしでも大丈夫?
- 超低用量ピルでは避妊できないって本当?
- 低用量ピルを飲んでいると妊娠しにくくなる?
このようなピルに関するよくある勘違いを解消し、避妊の確率を最大限にするための正しい知識をお伝えします。
低用量ピル服用中はコンドームなしでも大丈夫?
低用量ピルを正しく服用している限り避妊効果は非常に高いとされていますが、コンドームを使用しなくてもよいとは限りません。
飲み忘れや服用方法に誤りがある場合、ピルの効果は十分に発揮されない可能性があるため、確実な避妊を望む場合はコンドームを使うことが理想的です。
また、ピルは性感染症(STD)やHIVなどの感染症には対応していません。性感染症のリスクがある場合は、コンドームを併用しましょう。
超低用量ピルでは避妊できないって本当?
超低用量ピルも避妊目的で使用できます。低用量ピルと超低用量ピルの避妊効果に大きな差はありません。どちらも正しく服用すれば99%以上の高い避妊率が得られるとされています。
避妊効果は、含まれている黄体ホルモン(プロゲスチン)の量や種類によって決まるため、卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が少ない超低用量ピルでも避妊可能です。
ただし飲み忘れや不規則な服用があると避妊効果は低下します。とくに超低用量ピルはホルモン量が少ない分、飲み忘れによる排卵抑制効果の低下が早い可能性があります。飲み忘れ時は低用量ピル以上に注意が必要です。
「超低用量ピルでは避妊できない」というのは誤解であり、正しく服用していれば避妊効果は十分に得られます。
低用量ピルを飲んでいると妊娠しにくくなる?
低用量ピルを服用している間は基本的に妊娠しにくくなります。ピルの主な作用は排卵を防ぐことにありますので、ピルを服用し続ける限り避妊が可能です。
服用を中止した場合、体が元の状態に戻るまでに多少の時間がかかることがあります。服用をやめたからすぐに妊娠できるわけではなく、体調が整うまでに数か月かかることもあります。
「低用量ピルを飲んでいると妊娠しにくくなる」といったイメージは誤解で、むしろピルを中止すれば排卵が再開し、妊娠の可能性が高くなると考えられるのです。
ピルの服用後に妊娠を希望する場合は、服用を中止した後の体調の回復を待ちましょう。
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